ロータリーとは

職業も国も文化も異なる120万人が結びついたロータリーだからこそ、世界中の地域社会を少しずつ変えることができるのです

生き生きとした街づくりに貢献したい、明日を担う子どもや若者たちを支援したい、みんなが平和に暮らせる世界をつくりたい……そんな思いを胸に、私たちは、それぞれの地域社会に根づいて活動しています。さまざまな職業、国、文化、地域社会の人びとが協力するロータリーでは、想像を超えた素晴らしいことが実現できます。

20110222_HT_115
ロータリーは、人道的な奉仕を行い、あらゆる職業において高度の道徳的水準を守ることを奨励し、かつ世界における親善と平和の確立に寄与することを目指した、事業及び専門職務に携わる指導者が世界的に結び合った団体です。

ロータリークラブの会員は地域社会の事業及専門職務の男性及び女性の代表者から成り立っています。世界中のロータリークラブは毎週会合します。政治、宗教とは無関係で、あらゆる文化、民族、信条に門戸を開いています。

ロータリーの主たる目的は地域社会、職場と世界中での奉仕です。ロータリアンは児童の危機、貧困、飢餓、環境、低識字率、暴力など現代の最も危機的な多くの問題に対応するための地域社会奉仕プロジェクトを開発しています。さらに教育の機会、学生、教師その他専門職務の人たちの国際交換留学、職業訓練、研修開発など新世代に対するプログラムを支援しています。

end_polio_nowロータリークラブは夫々、奉仕プログラムを自主的に策定していますが、地球上からのポリオ撲滅キャンペーンには世界中のロータリアンが一致団結して参加しています。世界中の子供に予防接種のためロータリアンは1980年代に既に2億4000万USドル募金しました。ロータリー創設100周年記念の2005年を世界中のポリオ撲滅宣言の目標として定めています。更にロータリーは世界中のポリオ感染諸国の全国一斉予防接種デーの実施支援のために多数のボランティア集団を動員しています。

国際ロータリーの「ロータリー財団」は非営利団体であり国際的な人道的奉仕プログラム及び教育的、文化的な国際交換プログラムを通じて国際理解を推進しています。この財団はロータリアン及びよりよき世界のビジョンを共有している人達の自発的な寄付金だけで支えられています。1947年の創設以来、財団は11億USドル以上の人道的、教育的補助金を拠出しました。これら補助金は全て現地のロータリークラブ及び地区が提唱したプロジェクトに対して拠出され実施されています。

参照:ロータリーインターナショナルのHP

ロータリーの目的

ロータリーの目的は、意義ある事業の基礎として奉仕の理念を奨励し、これを育むことにある。具体的には、次の各項を奨励することにある。

  • 第1 知り合いを広めることによって奉仕の機会とすること
  • 第2 職業上の高い倫理基準を保ち、役立つ仕事はすべて価値あるものと認識し、社会に奉仕する機会としてロータリアン各自の職業を高潔なものとすること
  • 第3 ロータリアン一人一人が、個人として、また事業及び社会生活において、日々、奉仕の理念を実践すること
  • 第4 奉仕の理念で結ばれた職業人が、世界的ネットワークを通じて、国際理解、親善、平和を推進すること

4つのテスト

言行はこれに照らしてから

  1. 真実か どうか
  2. みんなに公平か
  3. 好意と友情を深めるか
  4. みんなのためになるか どうか

四つのテスト その由来をひもとく

ダレル・トンプソン(米国カリフォルニア州モローベイRC)
THE ROTARIAN 1999年10月号
ロータリーの友2000年1月号掲載
ロータリーの友2003年10月号再掲載(出展:ロータリージャパン)

今から60年以上も前の大恐慌のさなか、一人のロータリアンが4項目からなる簡明な倫理指針を考案しました。この指針は、窮地にあった彼の会社を救うのに役立ったのです。この指針が表現していた内容や信条はまた、ほかの多くの人たちに対しても、倫理的羅針盤を提供することになりました。やがて、国際ロータリーによって採用され、広く知れ渡ることになったこの四つのテストは、今日では、ロータリーの基本理念の一つとなっています。今世紀におけるロータリーの最も素晴らしい声明の一つと言ってもよいでしょう。


創案は七つのテスト

C002780 この四つのテストの創案者であるハーバート J.テーラー(ハーブ)は、やり手で卓越したセールスマンであり、人の上に立つ人物でした。ハーブは行動家で、信仰心が厚く、道義を重んじる人物でした。1893年に米国ミシガン州に生まれたハーブは、イリノイ州エバンストンのノースウエスタン大学を苦学の末、卒業しました。卒業後、彼は、YMCAおよび英国陸軍福祉機関の任務で渡仏し、第1次世界大戦では米国海軍の補給部隊員として従軍しました。1919年にグロリア・フォーブリックさんと結婚して、米国オクラホマ州に新居を構えたハーブは、同地でシンクレア石油会社に勤務しました。彼は1年後に同社を退社し、保険・不動産・石油リース仲介業を始めました。

数年に及ぶこの事業でいささかの成功を収めたハーブは、1925年にイリノイ州に戻り、シカゴのジュエル・ティー社に入社、とんとん拍子に昇進しました。そしてやがてシカゴロータリークラブの会員となりました。1932年、ジュエル・ティー社の次期社長候補であったハーブは、破産寸前状態にあったシカゴのクラブ・アルミニウム社の再建を依頼されました。調理器具メーカーの同社は、総資産額を40万ドル上回る負債を抱え、倒産の瀬戸際にありましたが、ハーブはこの難事業を引き受け、危機にひん瀕した同社に自らの運命を託したのです。彼は、ジュエル社を辞め、これまでの給与の8割減という収入でクラブ・アルミニウム社の社長に就任しました。しかもそのうえ、運営資金に充てるため、自己資金6,100ドルを同社に投資したのです。

信仰心の厚いハーブは、同社を建て直し、大恐慌下の沈滞ムードを払拭(ふっしょく)するための手段として、社員たちに倫理的価値観の目安となる簡潔な指針を提供すべく、神の啓示を求めて祈りをささげました。

社の倫理訓について構想をめぐらせたハーブは最初、およそ100語からなる文章をしたためましたが、これは長すぎると判断しました。そこでさらに推敲(すいこう)を重ね、それを7つの項目にまとめたのです。四つのテストは当初は、七つのテストだったのです。しかし、これでも長いと考えた彼は、それを自問形式の4項目にまとめ上げ、それが今日の四つのテストとなりました。


広告に適用した四つのテスト

次にハーブは、できあがった項目を社の4部門の部長にはかりました。その4人はローマカトリック信者、*クリスチャンサイエンティスト、正統派ユダヤ教徒、長老派教会員という人たちでした。四つのテストが自分たちの宗教上の教義に反しないばかりでなく、私生活ならびに職業人としての生活の模範的指針になるものであることで、意見の一致を見ました。
 このようにして、「言行はこれに照らしてから」の四つのテストが誕生したのです。

  1. 真実か どうか
  2. みんなに公平か
  3. 好意と友情を深めるか
  4. みんなのためになるか どうか

簡潔さの中に深い意味を包含するこのテストは、事の大小にかかわらず、クラブ・アルミニウム社が諸事決定を下す際の基本となったのです。しかし、テストというものはどんなものであれ、実際に検証される必要があります。実社会でうまくいくだろうか? 事業家がその指針に従って仕事をこなしていけるだろうか? ある弁護士はハーブにこう言いました。「もし私がこのテストを厳密に実行したら、私は飢え死にするでしょう。ビジネスに関して言えば、四つのテストは絶対に実行不可能です」。

この弁護士の懸念も、わからないではありません。他者の利益を立脚点とした上で、真理を実践し、行動評価を行うよう求める倫理システムは、どんなものであれ、大きな負担を伴います。そのようなテストは、誠実さと野望のバランスを取るのに腐心している人たちに、苦痛に満ちた葛藤(かっとう)を与えることにもなります。一つの生活様式として、それを現実的に実行できるかどうかをめぐって、世界中で熱い議論が戦われてきました。懐疑深く、消極的な考え方しかできない人たちはさておき、ロータリアンの中にも、四つのテストは極度に単純化された哲学であって、その有用性は疑わしく、相矛盾する趣旨からなっており、目標は非現実的である、と真剣に考えている人たちが常に存在します。

このテストは、自らの動機と目標を思慮深く検討するよう求めるものです。真実、公平さ、思いやりに対する強調は、道徳的要素を多く含有しているため、“倫理的消化不良”を起こしてしまう人たちも確かにいます。しかし、1930年代のクラブ・アルミニウム社においては、あらゆることが、四つのテストに照らして判断されたのです。まず広告に対してそれは適用されました。「より良い」とか「最上の」とか、あるいは「最高の」や「最高級の」といった表現が広告から削られ、製品に関する事実に基づいた説明文が載せられることになりました。競合他社の欠点を論ずる文面も、広告や企業案内から取り除かれたのです。


難局に挑んだ四つのテスト

四つのテストは、徐々に同社のあらゆる面における指針となっていき、ディーラーや顧客、そして従業員の間に、同社に対する信頼と好意が生まれることになりました。四つのテストは、社風の一部となり、やがて、クラブ・アルミニウム社に対する信望は高まり、財政の改善に寄与することとなったのです。

ある日のこと、販売部長が、調理器具5万点の注文が取れるかもしれないと発表しました。売り上げは低迷状態にあり、会社は依然として倒産の危機から脱していませんでした。最高幹部の人たちは、明らかにこの販売の機会を逃すことなく、商談が成立することを望んでいました。しかし、一つの問題点がありました。販売部長が聞いたところでは、注文主である業者は商品を値引きして販売したいというのです。「これでは、これまでわが社の製品を地道に宣伝し販促してきてくれたディーラーに対して不公平となります」というのが販売部長の意見でした。結局、この注文は断ることになりました。その年には、ほかにいくつか厳しい決断が下されましたが、これは、その中でも最も苦渋に満ちた決断の一つでした。この取引を行っていれば、疑う余地もなく、同社が営業活動のよりどころとする四つのテストを嘲笑(ちょうしょう)することになったでしょう。

1937年までに、同社の負債は完済され、その後の15年間では、株主に対して100万ドル以上もの配当が支払われました。また、同社の純資産は200万ドル以上に達しました。

いかがですか? これでも、あまりに理想的すぎて実社会には向かない、とお考えですか? 四つのテストは、ビジネスという厳しく、変転きわまりない世界で生まれ、経済界が経験した最も過酷な時代の中で、厳密な試験を経てきたのです。それは、実業界という競争の場で生き残ってきたものなのです。

1942年、当時の国際ロータリー(RI)理事のシカゴのリチャード・ベナー氏が、ロータリーもこのテストを取り入れるべきだとの提案をしました。RI理事会は、1943年1月にベナー氏の提案を承認し、四つのテストを職業奉仕プログラムの一つの構成要素としました。もっとも、このテストは、今日では四大奉仕部門のすべてにおける不可欠の要素として認識されています。

ハーブは、ロータリーの創立50周年記念にあたる1954-55年度、RI会長に就いた時、四つのテストの著作権をRIに移譲しています。


今こそ必要なのは倫理的誠実さ

1930年代に誕生して以来、60年以上の歳月が過ぎ去ったこの現代社会では、ある人たちが批判するように、四つのテストは、その有効性を喪失してしまっているのでしょうか? それとも、変化のテンポの速いこの時代においても、事業や専門職に携わる人たちの指針として機能するに足る洗練さを保持しているのでしょうか?

真実かどうか―真実は不変であり、時代を超越するものです。真実は正義なくしては存在し得ません。

みんなに公平か―顔を突き合わせてとは言わないまでも、腕を伸ばせば届くような所で、激しくやり合うビジネス手法に代わり公平さを取り入れたビジネスは、お互いの関係を傷つけるよりも、その関係向上に役立ってきました。

好意と友情を深めるか―人は生まれながらにして、他者と協力して生きていく存在であり愛情を示すことは生来備わっている本能です。

みんなのためになるかどうか―この項目は、食うか食われるかを原則とする無慈悲な競争を排除するものであり、それに代わって建設的で創造的な競争を導入するものです。

四つのテストは国家という枠を超えたものであり、国境や言葉の障壁を超越するものです。そこには、政治や独断や特定の信条は介在しません。一つの倫理規範としての存在以上である四つのテストは、いかなる形であれ、人生を成功に導くための要素を含み持っています。それは今日の社会でも有効性を保持し、かつ実効性のあるものなのです。

最終的なテストは、実際に行動することにあります。著名な心理学者であるウィリアム・ジェームズ(1842~1910年)は、「真実が意味するところの究極的なテストは、それが指示あるいは示唆する行動である」と、言っています。今日のロータリーの中核には、倫理的卓越性を使命とする四つのテストが存在します。人類は、共に繁栄することができるのです。現代のビジネスは、誠実かつ信頼のおけるものであり得るのです。人々は、お互いを信じ合うようになれるものなのです。

1977年のサンフランシスコ国際大会で、米国の取引改善協会(不正広告の排除など商道徳の改善を目指す実業家・生産者の団体)のジェームズ S.フィッシュ氏は、次のように語っています。「競争を原理とする企業経営システムが存続するためには、厳格な倫理規範という枠組みが必要です。実際のところ、資本主義制度の全体構造そのものが、信頼というものに大きく依存しています。つまり、ビジネスに携わるすべての人たちは、お互い同士だけでなく、大衆や消費者や株主や従業員とも、公平かつ誠実に対応するという信頼関係に依存しているのです」。

現代社会が今いちばん必要としているものは倫理的誠実さであると言ってもいいでしょう。四つのテストは、人々が価値ある目標を追い求める際の指針として活用できます。その目標とは、友人を探し選び、その友人関係を維持すること、周りの人たちと友好関係を築くこと、幸福な家庭生活をつくりあげること、高い倫理的・道徳的基準を設定し身につけること、自ら選択した事業や専門職で成功を収めること、より良き市民となり、次の世代にとっての良き手本となること、といったことです。

簡潔さの中に多くが語られ、感動的なまでに力強く、実のある成果を必ずもたらすこの四つのテストは、緊張と混乱と不確実性に満ちたこの世界のただ中に、清新で明るさにあふれた未来展望を与えてくれるのです。

参照:ロータリージャパンのHP